秘密計算.jp#5 レポート

Created
2022/1/5 6:42
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「秘密計算」は実際に使うことができるのかーー。秘密計算について少し理解が進むにつれ、このような疑問を持つようになる。どのような未知なる技術も同様だが、やはり実際に動くのかどうかユーザーとしてリアルな追及をするのは当然のことだろう。 現に、秘密計算コンソーシアムには「実際に秘密計算の実証実験事例を知りたい」との声がたくさん聞かれている。今回はこの声にお答えするため、実証実験の事例を事業会社側からの目線で語っていただいた。 今回ははじめてのリアルイベント開催ともなり、観客の熱量が伝わる会となった。

スピーカー

デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)株式会社 パートナービジネス本部 シニアマネージャー 岩井 崇明 氏 名古屋大学法学部卒。2009年、DAC入社。運用型インターネット広告の営業兼コンサルタントを経て、プロダクト開発職へ。自社データやアライアンスデータを用いた広告商品・マーケティングサービスの企画開発に従事。現在は、データを活用した分析及び施策プランニング、プライバシー保護法準拠対応、事業開発支援など、企業のデータ活用に対して幅広く支援に携わっている。
SBテクノロジー株式会社 グループ事業統括 兼 法人公共事業統括 兼 経営企画本部事業戦略室 シニアストラテジスト 福嶋 健二 氏 外資系ブランドエージェンシーでデジタルプロデューサとして、リレーションシップ・マーケティングの戦略立案などの経験を経て、2011年からソフトバンクグループ企業であるサイバートラストにてセキュリティ事業、SBペイメントでは決済事業、ソフトバンクで通信キャリア事業、SBテクノロジーではSI事業でビジネスプロデューサとしてビジネスディベロップメントを担当。各事業領域での様々な実践経験から企画からパートナー企業の発掘し協業へとビジネスアライアンスを行い、共創パートナーとの新規事業創出のビジネスプロデュースを事業企画とDXを推進。現在は、「スマートシティ・5G」「ビックデータ・AI」「セキュリティ」領域を中心にSBテクノロジーでは3部門の所属とソフトバンク法人統括DX本部も兼務している。
株式会社Acompany 代表取締役CEO 高橋 亮祐 氏 名古屋大学在学中にエンジニアとして活動を始めたことをきっかけに、個人でのwebアプリケーション開発や複数のベンチャーでのインターンを経て、2018年6月に株式会社Acompany創業。これまでに、デジタルキー管理システムの開発、デジタルアセット管理プロジェクトへの参画などの開発実績や総務省・NICT起業家万博を始めとし、複数のビジネスプランコンテンストでの入賞歴あり。セキュアマルチパーティ計算による秘密計算の実用化に注力する。2019年名古屋大学工学部物理工学科卒業。
EAGLYS株式会社 代表取締役CEO 今林 広樹 氏 早稲田大学大学院在籍中、米国でデータサイエンティストとして活動したことを契機に「AI・データ利活用時代」におけるデータセキュリティの社会的重要性を実感する。帰国後、科学技術支援機構の戦略的創造研究促進事業(CREST)研究助手を務めながらプライバシー保護ビッグデータ解析の研究に没頭。2016年大学院在籍中にEAGLYS株式会社を創業。
 
 
当日の会場の様子
当日の会場の様子
 

秘密計算との出会いは。

今回登壇したDACとSBT。彼らはどのようにして「秘密計算」と出会い、PoCを行おうと思ったのだろうか。
お恥ずかしながらデータの仕事に携わっていながら、秘密計算のことは全く知りませんでした。Acompanyさんをご紹介いただいて、はじめて知ったという感じです。 彼らと話していて、秘密計算の話を聞いてすぐにピンときました。国内に話を区切ると、法改正を目の前にひかえ、総務省の電気通信事業法と相性がいい。また、脱サードパーティCookieの動きがあって、色々模索していた時期に秘密計算に出会って、なんで秘密計算を今まで知らなかったんだろうと感じました。 ちょうどわたしが秘密計算を調べ始めた頃に、GAFAの持つプラットフォームの中で秘密計算を使うと言った話が出てきて。ちょうど巡り会えてよかったなという感想ですね。
秘密計算の有用性は3点あると思っています。1つ目はデータを取り扱う上で避けては通れないセキュリティ問題。2つ目はクラウド上でデータをやり取りすることが多くなった中、クラウド上でデータを守る必要があります。この点で秘密計算は活躍できるかなと。そして3つ目はグローバルベンダーが秘密計算に注目している点ですね。いろいろと秘密計算を英語で調べていたら「準同型暗号」がいいものらしいと聞いたので、EAGLYSさんと手を組んだという形ですね。 これくらい理由並べないと、上の承認降りないので。
 

各社、どのようなPoCを実施したのでしょうか。

まずはDAC×Acompanyの事例です。
Acompanyさんとは、弊社の持つ高度なマーケティング環境「AudienceOne」の消費者データベースを使ってPoCを行いました。現状AudienceOneでは、生データを連携して企業へ提供しています。しかし今後の法改正で個人情報保護の関係から生データを提供できないケースを想定した時に、秘密計算を用いればいいのではないかという考えが出てきました。 そこで、Acompanyさんとは外部データと弊社の持ってるデータをクロスさせて何らかの結果を得ることができないかなとお思って実証実験を行いました。
 
一方、SBTとEAGLYSの場合はどうなのでしょうか。
弊社ではクラウドとセキュリティを掛け合わせてビジネスを展開しています。クラウドはメーカー各社と手を組んでビジネスを仕掛けています、セキュリティは、大手通信キャリアや自治体に対してサービスを提供しています。 で、秘密計算はどこに関わってくるのかというと、データ資産の活用部分ですね。顧客となる企業が持つ企業のデータを掛け合わせると、より具体的にマーケティングで生かせるのではないかと考えています。例えばテレビの視聴データ。視聴データを突き詰めると家族構成とかわかってしまう。これらデータを横連携する時に秘密計算が使えるのではと考えています。 今、弊社とEAGLYSさんとで取り組んでいるものは、弊社の既存システムの中にEAGLYSの秘密計算を組み込んでまずは使っていただくことですね。使ってもらわないと話は進まないので、ほんとそこからです。
 

脱サードパーティCookieが注目を浴びる中、代替手段として注目を浴びる「データクリーンルーム」。AcomoanyとDACではこのデータクリーンルームに秘密計算を掛け合わせを検討中です。

脱サードパーティCookieに向け、さまざまな情報が飛び交うようになった。 電通はTwitter Japanと連携し、「データクリーンルーム」の構築を進める。2021年10月28日、電通はCookieフリー時代に対応した次世代型データ統合基盤と位置付ける「Twitter Data Hub Omusubi(Omusubi)」の提供を開始すると発表。このOmusubiは、個人を特定しない形で1st party Cookieから得られた位置情報や店舗購買などのデータと、Twitter広告の配信データを連携、分析。統計レポートをアウトプットする仕組みだ。
 
フラットフォーマーはデータを出したくない。広告主もデータが十分存在しないため、さまざまなデータを各方面から集めてデータ分析を行いたいと思っています。その中で、DACとしてはこのデータクリーンルームの中に秘密計算を組み込めないかなと検討中です。
広告効果の可視化需要が出てきているので、DACと競合からも話きていますね。似たようなソリューションのニーズは高まっていると思います。

行政の個人情報保護の取り扱いでは、自治体の個人情報との結合には個人同意が必要と思います。例えば秘密計算を用いる事で個人が同意しやすいというメリットがあったりするのでしょうか?

行政はセキュリティ問題に敏感だ。クラウドシステムひとつ導入するにしても、多くの関門を通過する必要がある。
現状ないです。秘密計算という単語も、概念もまだ浸透していないので、こればっかりは仕方ないです。なので我々は愚直にお客さまに対してメリットをお話しして、秘密計算を「免罪符」として捉えてもらうよう働きかけています。 やはり、なぜ秘密計算を使うといいのか理由を明確に、かつシンプルにお客さまへ伝えていくことでようやく頭を縦に振ってもらえると思っています。
 

個人情報を秘密計算を用いて暗号化した場合、これは個人情報というのかどうか。

これはよく出る質問だ。秘密計算を用いて個人情報を秘匿化して使うことができるのだろうか。
現状、秘密計算を用いて個人情報を秘匿化した場合でも、法律上はアウトですね。基本的に個人情報を非個人情報にする場合は、法的に定められた処理をしたかどうかです。なので例え秘密計算を使って秘匿化した情報であったとしても、第三者提供しなければならない。 今はこれを解消しようと、秘密計算によって切り開けないかというところを、今ロビイング活動やグレーゾーン解消制度などを使って働きかけている段階です。
もしこれが突破できたら、ドル箱ですよね秘密計算の会社は。なんですが、なかなかうまくいかない。 匿名加工情報は一定の形で認められたが、引き続き突破できるようにしたいですね。
 

最後に一言お願いします。

今日参加した中で一番遅れてキャッチアップして、勉強する立場だったなあと。でも、今回参加できてとてもワクワクしました。 普段、限られたオンラインのマーケティングしか見えていない中で、秘密計算と出会って。この技術が今後世界で使われる技術となるためにも、法律で認めてほしいと思っています。
Appleは圧倒的な高品質を提供してるから、データを得ることができる。OSの変更で、新しい技術が入っても詳細なんて私たちはいちいち読まないじゃないですか。一方で、ブランドの信用性がないと安全品質をうたっていても、周りは聞いてくれないし信頼しない。なので、地道な努力をしていかないと、秘密計算を使っていくことは難しいのではないかと思います。
GAFAが変えた領域はほんの一部。結局世界のほとんどを占めるのはリアルワールドで、彼らはここを変えることはできていない。私は、リアルワールドから価値を創出するのは秘密計算含め、ブロックチェーンなど今トレンドの技術だと思っています。
秘密計算は今、2015年AIと同じ状況にあると思っています。我々はすでに秘密計算エンジン「QuickMPC」やライブラリー群「Privacy AI」をすでに公開。グローバルで戦える領域だと思っています。将来的には、秘密計算版のプリファードネットワークになれるように頑張っていきたい。そのためにも今後は、実証実験することで形を作っていきたいと思っています。
 
株式会社EAGLYSで開催。集合写真を撮影しました!
株式会社EAGLYSで開催。集合写真を撮影しました!
 

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